M&Aの直後に問題になるのは,月次もやってない会社とかもいっぱいあるんで,その辺をどうしっかりやるか,です。
やはり優秀な経理の人が一緒に行ってくれてスパスパ整理してくれると無駄がなくてすごく楽で早い,ということが言えます。ここの初期設定がちゃんとできてないと後から苦労します。
M&A後のモニタリングとは,なるべく完全情報状態に近づけていきつつ,投資対象である株式の価値が投資時の判断基準と乖離していないかどうか見ていくという作業です。
ファンド期間が10年間あるとして,最初の5年間は投資期間で最後の5年間はその利食いをするですね。まあ平均すると各投資先の保有期間が5年間ぐらいということになります。
おもしろいのが,投資課題が解決したら売る,ということです。その時が一番価値が高いしそれ以降は時間価値以上に伸びることがないわけで,そこまでやり切ったらもう売ると。三年目だったら三年目の値段で売るのがいいわけです。この瞬間に売る,これが難しいんですが。これはタイムバリューの話です。
「タイムバリューに負ける」という独特な表現があります。例えば一個一個の投資案件,5年で倍にしますと。年利で複利で20%くらいになってかなきゃいけないみたいな,その指数関数のような曲線になっておらず,直線的な線形で,そのような指数関数的な上昇曲線に対してもう負けてる場合もありえます
時間が経つほど傾きがSteepになる指数関数グラフに,今負けてる案件が逆転勝利するのは,時間とともにとても難しくなっていく。これが「タイムバリューに負けた」状態ということです。勝ち目がないことが確定すると売って他の投資に回した方が良い。純投資100%の考慮だとこうなっちゃいます。
事業会社においてはまずEXIT戦略としては基本的に必要ないと思われがちで考えられてないですが,ライザップの例を見ても分かるように,誤った投資判断の清算,今後の変化する経済環境でノンコアになったところのスリム化など,新陳代謝がますます必要とされると思います。
買収前の準備から買収後の施策で利食いするところまで素描しました。個々のプロセスをしっかりと経営陣と共有してリスクを認識し,そもそもデザインされたプレーの中でやる領域を増やすと,その中でどうしてもスクランブルは発生するんだけど,それはスクランブルだっていう認識をした上で対策を考える
M&Aは,全てがスクランブルプレイになりがちですしそれが当たり前になっています。しかしそれはデザインできるはずです。なるべくデザインされたプレーを増やすということをテーマとして,M&Aブレインは情報発信したりコンサルティングをしています。
後継経営者は,会社の内政と外交をできなければいけません。内部昇格ができれば結構いいと思いますが,人選は非常に重要になると思います。情実に流されてはいけません。そういうことができる経営者肌がいない場合は,プロ経営者に近い人を取ってくることになります。
株主としては,現場の経営者はシビアに評価してあげた方がいいと思います。保身ゲームと(保身なしの)企業価値向上ゲームに分かれます。本音を伝えて,同じゲームをしている状態を作らないと必ず破綻します。経営という複雑系で表面だけ合わせることはできない。この点は非常に大切になります。
株主と投資先の経営陣の利害対立がもつれると,誰かがその本音ベースを突き合わせる役回りをしなければいけません。会社に乗り込んでいくということです。そこに入っていくところに一つの価値ある仕事があります。